「ち、ちょっと……」

あたしが真空さんに向かってそう言うと

「名前、なんて言うの?」

って、いつもの優しい目で聞いてきた。


あたしの名前を聞いて何をするんだろう…

そういう疑問を抱きながら名前を言った。

「伊沢 悠希(ゆうき)です」

真空さんは、やっぱりと言いたそうな顔をして笑った。


あたしも笑い返そうとしたとき……

「発車しますのでご注意ください…」

というアナウンスが流れた。

「あ……」


あたしがそう呟くと真空さんは『あー!』って声を出した。

「え、どうしたんですか?」

あたしがそう聞くと真空さんは

「学校行かなきゃいけなかったのに…」

って呟いた。

真空さんも学校行くところだったんだ!

「あたしも学校いくところだったんです…次で降りません?」