〔悠希side〕
12月の中旬
----------
あたしは、かじかんだ手に自分の息を吹きかけて電車を待っていた。
家に入ろうとしたら、鞄の中にもポケットの中にも鍵がないことに気づいた。
たぶん、学校の机の中に忘れて来たんだと思う。
今日は運が悪いのか予習し忘れていたところが、あたしに当てられた。
予習していない事を正直に言うと雑用頼まれるし……。
「ホント最悪…」
そんな事をぼんやり考えていると電車が来た。
電車に乗ると暖かい風があたしの身を包んだ。
仕事帰りの人達がたくさん乗っていて座ることが出来なかった。
もぉ、ホント最悪だよ……。