「君こそ、大丈夫?」



ちょうど若い男……よく見れば、そんなに年も違わない、少年の上に重なるように着地してしまったため、直に顔が赤くなる。

少年は苦笑いをすると菜穂を持ち上げ、パンパンと汚れを払ってくれた。



「ひざ、擦り剥けてる」



そういわれて視線を足元へと下げると、菜穂の足は盛大に擦り剥いていた。

気がつくまでは痛みがなかったのに、気がついたとたんずきずきと痛む。

「僕の家、来るかい? そこでなら、消毒もしてあげれる」

「良いんですか!?」

思わず、顔をきらきらさせて即答してしまい、菜穂はしばらくして、小さな声で「いえ」と答えた。

答えたものの、それはどう考えても少年には聞こえない、自問自答のもので、少年はすでに菜穂の手を握って、どこかへ案内しようとしていた。