楽しげに、茎の辺りを触る。


男と花との2ショットなのに、意外と違和感はなかった。これがクラスの巨漢の粟島だったら、食べてしまうんじゃないかとおっかない気分になったかもしれないし、不良の相川先輩だったら引きちぎってしまうんじゃないかと気が気じゃなかっただろう。


土もやわらかく、手入れが行き届き、雑草ひとつない、きれいな庭だった。


カフェテラスもあり、そこには二人分のハワイアンジュースが並べられていて、真ん中には軽い菓子類が置いてある。軽いといっても、値段は重そうだ。

「今度いつ遊ぼう?」

「土日や放課後なら」

「本当に、電話なくていいの?携帯でも、いらないの?」

「はい」


 携帯電話は、確かにほしい。が、料金を考えると、ほしいという勇気など消えうせた。