「そんな風に言ってくれるような、そばにいる人が、いなかったんだ……」


お金持ちは、何もかも満たされていると思っている人もいるようだが、それは違う。金持ちゆえのいざこざや、寂しさが会ったりする。貧乏だからこその幸せももちろんある。

それぞれ、価値観にもよりけりではあるものの、いいところと悪いところはすべてのものにつき物なのだ。

 

 その後、二人は写真を取り合ってみたり、そしてそのまま現像して焼きまわしたものを二人で分け合ったり、なかなかに一日を楽しんだ。


 彼は、花を見るのが好きで、花言葉に凝っているらしかった。果断には色とりどりの花々が生い茂り、今日朝持ってきたのも、そこに生えていたチューリップの、アンジェリケという品種だった。ピンク色の、かわいらしい花だ。


「アンジェリケはね、永遠の愛とか、愛の告白とか、いろいろ花言葉があるんだけどね、僕は思いやりっていう花言葉が好きなんだ」