志和の悲しげな表情に押されて、菜穂は頷いた。

「じゃあ、座って」

椅子を引かれて、そこに座ると、菜穂の前に蟹のスープに天津飯、エビチリ、中華サラダにあんかけ肉団子という、中華メニューが並べられた。

中華料理なんて、給食でしか味わったことがない。

「これ、全部いいんですか」

「うん、食べて」

いわれるが否や、菜穂は天津飯をかきこんだ。

常におなかを減らしている菜穂にとっては、給食のお変わりだけが救いだった。そんな菜穂にとっては、食事はさすがに要りませんとは断れないのだった。