「でも、もったいないですね、このお洋服」

メイドのその一言にピクリと菜穂の耳が動いた。確かに、この服花穂のために用意されたものだ。

着なければ、ほかの人に回るに違いない。が、そこは金持ち。考え方は違っていた。


「廃棄、ですかねぇ」

「捨てるんですか!? なら貰います」

売ればたいそうな金になりそうだが、もったいなくてどれも捨てられそうになかった
。ラインストーンでデコられた華やかなキャリーカーには、鮮やかなアクセサリーが詰まっていて、生唾ものだ。

これって本物の宝石だろうか、なんて勘繰ってしまうほど輝いている。

衣服は衣服で、シルクなんじゃないかというほどの艶やかさ。

デザインは海外セレブが着てるような、シンプルなものから、今時の109系の物まで。

コスメは本格的なものから、限定品までそろっている。