空は青く澄み渡り、晴天という言葉が似合う。

そんな晴れ渡る地上を、暗い顔で歩く少女がいた。

ペタンペタンと踏み潰した靴を鳴らし、眉間には皴がよっている。

そう、其れこそ我らが主人公、光井菜穂なのである。

ボリュームが多少人より多い黒髪の、癖毛の小さな女の子。

小さいといっても心の闇はでかいぞ、なめんな、なめると呪われ……じゃなかった。背丈は少しばかり人より小さいが、年齢は中学2年生。

華奢な体は抱きしめると折れてしまいそうだが、それは別に何かしら努力をして手に入れたわけではない。

貧乏なのだ、単に。体の弱い母親と2人暮し。

父親は、とうの昔にいなくなっていた。

今じゃ顔すらも覚えていない。
写真はあるらしいが、見たくもない。
目に入ったらやぶり捨てるぞの勢いで、存在自体を無視している。