私、神崎知鶴(かんざきちづる)は本気で人を好きになれなかった。


何度も裏切られ、人を信じるのが怖くなった。

だから私は本気で想うのをやめた。
心を、捨てた。
人の言葉に一喜一憂するのをやめた。
感情すら捨てた。
面白くもないのに笑って、泣くのをやめて
怒るのをやめて、とにかく笑顔笑顔笑顔。
貼り付けの笑顔で頑張った。

毎日が必死だった。
我慢の連続だった。