―お前はとても優しい。故に傷つくことが多々あるだろう。人間の手によって。人ならざる者によっても。
優しく語り掛ける声。幼かった私にはまだその問いの意味は分からず、ただ笑うことしかできなかった。

―それでも、人を、そして人ならざる者たちを、嫌いにならないでいてくれるかい?
―この世界を、憎まないでいてくれるかい?
少し辛そうにでも愛おしそうにこちらを見る優しい声の主は涙を隠すのに必死なようだった。
私はただ、安心させてあげたかった。だから―