風邪になびく髪をおさえながら

ふと君と出会った日を思い出す

゛お前、迷子? ゛

゛……うん…゙

小学校の入学式の日、お母さんとはぐれてしまった私は途方にくれていた


桜の木の下で右も左も分からなかった私に
ぶっきらぼうに差し出された右手は、
その声は私をひどく安心させたのを覚えてる。


私より身長が低くて

まだどこかたどたどしい言葉使いで

同じ黄色の帽子をかぶった

黒髪の、少し目つきの悪い男の子





゙ありがとう゛
そういった私に

゛別に゛ 
そういって、走っていってしまった君