「キ、キスぅぅぅ?!」


そう叫んだ。


「え?なんでそんな驚いてるんですか?僕、変な事言いました?」

アヤノは、キョトンとしたように首を傾げた。

「自覚無しかよ!!変な事いってんだろ!!キ、キスとか…ば、馬鹿じゃないの?!」

顔が真っ赤に染まって行く。
もちろん私は、ファーストキスなんてまだしてない。
こんな奴に私の初めてを奪われてたまるか!

「んー…、契約するにはキスしないと駄目なんだけどなぁ。」


け、契約??

何の事?

「あのー、すみませんが僕をこの家に置いてくれませんか?」

「………………はぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

思わず、大声が出てしまった。
今の時間を考えろ。
夜の9時だぞ。(鈴香は今気づきました。)

お、落ち着け春川鈴香。
落ち着かなきゃ…。

ぐるぐると思考が鈴香の頭の中を掻き乱す。

「…えと、まず契約ってどういう事?」

自分を落ち着かせ、とりあえず1番最初の疑問をアヤノに伝える。

「え?あぁ、まず今回の契約は主の家に住み着く権利を得るためのものです。そのためには、主からのキスが必要不可欠です。」

うん、理解出来ない。
いや、したくないな。
契約?
わたしのメリットがないじゃないか!!
デメリットしかねぇよ!

心の中でツッコむ。

「…なんで、キスしなきゃいけないのさ。」


これは、本心だ。

なんで、見ず知らずのイケメンにキスしなきゃいけないのさ。
私のファーストキスをこんな訳の分からん奴に差し出せってぇの?

「ふざけんなぁぁ!!」

私は、大声で叫んだ。