「…無自覚かよ」

そう、弱々しく呟いて、そっぽを向いてしまった

髪の毛の間から見えた耳は、真っ赤に染まっていた

そういえば、彼はさっきから、いつもの王子様のような雰囲気が見られない

これが、本当の彼なのかな

私は、そう思った

「瀧沢じゃなくて、望
 あと、敬語は使わないで」

そっぽを向いていて顔が見えない

でも、私は嬉しかった

「ありがとう、望君」