『海広いねー。気持ちいいー』



「深呼吸、深呼吸。いっぱい海を吸いこんでいこう」



大きく息をする航太は、青い空と海にとけてしまいそうだった。



砂浜に下りる時、航太は手を差し伸べてくれた。



手をつなぐことが、初めてのことのように、ドキドキする。



このドキドキが、私の手から航太に伝わっちゃうんじゃないかと、心配だった。



砂浜をずっと歩いた。



よせる波にぬれないように、行ったりきたりした。