先生の瞳には中庭にいる柚葉がいる。


『タカ先てさ、もしかして…』


私が話し始めたところで、始業のチャイムが鳴った。



「さぁ、午後の授業始めますかぁ。早く教室戻れよ。遅れるぞ」




高瀬先生の後姿を見ながら思った。


恋をしている人はやさしい瞳をしている。


大切な人がいるっていいなぁ。


人を愛することはすばらしい。


人を愛するとやさしくなれるから。


切なくて苦しい時もあるけれど、その痛みでさえも、相手への思いやりに変えることができるから。