その夜、航太から電話があった。
「ごめんな、遅くに。なんだか声聞きたくってさ」
『えー、航太も。私も航太に会いたいなぁって思ってたところ』
「すげー、以心伝心ってやつ?」
『でも、正確にいうといつも航太のこと思ってるから、私はいつでもなんだけどね』
「なんだ、でも俺も同じだよ。和奏のこといつも思ってるから。なかなか会えなくてごめんな。また、海、行こうな」
『うん』
「よし、和奏との海を励みに仕事頑張るか。じゃあ、おやすみ」
『おやすみ、航太。大好き』
好きな人に「すき」と言えることは、なんて幸せなことだろう。
その「すき」を受け止めてくれる人がいる。
明日はどんな日になるんだろう。
次に航太と行く海は、どのように私達を迎えてくれるんだろう。
月明かりが私をやさしく包み込み、夜空に吸い込まれそうな感覚になる。