「今日の海は見たかい。雨の日は海の水も濁る。でもそんな日があってこそまた海はきれいになる。魚達や海の生き物たちも雨や風、波にも体をあずけ自然に逆らわずに暮らしているんだよ。大丈夫。また、青い海が見られるから」
『うん』
「ほら、元気のもと」
と、温かい缶コーヒーを渡してくれた。
「私のコーヒーの方がおいしいけどね」
『もちろん』
マスターの笑顔を見て、私の心も笑顔になった。
「航ちゃんには知らせておくからね」
辛いのは自分だけじゃない…
航太の言葉を思い出した。
大切な人だからこそ、相手のことを思い、悩み、苦しむ。
また青い海が二人の前に現れることを祈ろう。
手の中でマスターがくれた缶コーヒーが、不安な私を温めてくれた