思わず航太を抱きしめた。


「昨日会って、あいつは俺になんて言ったと思う?あの時はごめんなさいって。私一人が悩んで苦しんでいると思っていた。でも、あなたも私のことを思ってくれて辛い思いしていたのよね。ごめんなさいって。俺は、何も言えないどころか、あいつの顔さえ見ることができなかった。情けない男だ。」



『ううん。情けないんじゃないよ。そんなところも航太のやさしさだよ。でも、でも、今の彼女への気持ちはどうなの?』



「…わからない。でもなんであの時一人にさせちゃたんだろうって思いに悩まされているんだ。」




それは航太が今でも彼女への思いを持っているから…




でもそんなことは言えない。




『今の航太の気持ちを伝えることが、彼女に対する愛情なんじゃないかなぁ』




私はそれしか言えなかった。