あれ、もう来てる。
「今日は早いでしょ。いつも和奏のこと待たせちゃうから、今日はスピードで仕事かたしてきた。」
航太の笑顔はかわいい。
「久しぶりだからうまいもんでも食いにいきますかぁ。何がいい?」
『うーんと、この前できたイタリアンのお店がいいな』
「高級レストランじゃないだろうな」
『大丈夫。リーズナブルだけどおいしいって評判のお店だよ』
「じゃ、決まり。行こう」
二人で手をつなぎながら店に向かう途中で、柚葉の出来事や病気の話をした。
「大変だったな、早くよくなるといいな。柚葉ちゃんて、まわりの人を思いやる子でしょ。そんな頑張り屋さんの人は、自分のことは我慢しちゃうんだよね」
そう言う航太の目は誰かを思って言っているようだった。
『そうだね。柚葉の話を聞いたり、柚葉を見ているとこっちまで苦しくなっちゃうから、辛かったと思うな』
「柚葉ちゃんは、そんなやさしい和奏が友達でよかったと思ってるにちがいないな。きっと」
『うん。大切な人って言われちゃった』
「まずい。俺のライバルだ」
航太はふざけて言った。