その夜、航太に電話をした。


『もしもし…今、大丈夫?仕事中かな?』


「あっ和奏。うん。仕事行き詰まり中。でも、大丈夫だよ。」


『ごめん、忙しいのに、声聞きたくなっちゃった』


「声だけ?会いたくなっちゃったじゃないの?」


『…うん。でも、声聞いてるだけでもうれしい』


「そう?俺は会いたいな。今から会おうか?なーんて。でも、もうこの時間だから無理だな。明日会おう」


『ほんとに!いいの』


「じゃあ、いつものドーナツ屋でな。うーんと、7時はどう?」


『うん。やったー。楽しみ』


「じゃあ、もうひと頑張りしますか。電話、ありがとな。よい子はおやすみ」


  航太、大好き。


どうして私のことがわかるんだろう。


自分のことなのに、実はよくわからないことが多い。


でも、大好きな人に自分を見つけてもらえることは、本当にうれしい。