…中学時代のこと、大好きな彼のこと、再会した時のこと、彼との関係のこと、別れのこと、彼に言われたこと、体の変化のこと、不安でたまらなくて、一人迷い、苦しんでいたこと…
先生は目をそらさず、じっと柚葉の言葉に耳を傾けていた。
「検査の結果ね、私、卵巣のう腫っていう卵巣に腫瘍ができる病気だったの。精密検査の結果次第では手術になるかもしれないって。
妊娠してなかったんだよね。体の変化は病気のサインだったの。妊娠していなくってホッとする気持ちを持つなんて、女として最低だよね。悠に言われたことに対して、怒っていたけど、結局私は悠が言っていた通りだよ。自分の責任も考えていなかったんだから。」
『そんなことない。不安な気持ちは柚葉しかわからないんだもん。
本当は不安をお互いが思いやってこそ乗り超える問題なのに。』
新しい生命を宿るということは、女性にとって幸せなことであり、未知な、不安なことでもある。
愛し合うということ。単なる体を重ねるだけの行為としては考えられない。
本当に愛し合うこととは、お互いが思いやり、心と体がつながりあうことではないかと感じた。
タカ先は、柚葉の硬く組んだ両手を、やさしく包み込んで、
「辛かったな。苦しかったな」
と言って、一緒に涙を流した。