「こんな遅くに何してんの?」

不思議そうに見つめてくる優ちゃん。

「桜見に来ただけだよ。」

優ちゃんは、正面に回り込んでしゃがんだ。



「……目、赤い。」

そう言って桃の目の下をそっと触ってきた。

優ちゃんが、触れてきたのは今までで初めてで、その真剣な顔つきも含めてなのか、少しドキッとした。


「タケ先輩が泣かしてんの?」

いっつも笑顔なくりくり目も、今は真剣。
いっつも子供だと思ってる表情も、今は真剣。


でも声だけは優しくて、その声にまた涙が出そうになる。



「しょうもないことだから……。」

立ち上がって帰ろうとすると、腕を掴まれた。


「気になる。」


腕を掴まれた反動で、いつも話す距離よりも近い。