「ねえ、何処行くの?」

「宝箱!」

「は?」

松之助は、ずんずん歩いて行く。草むらを抜けると小さな小川が流れていた。

「着いた!」

松之助は、そう言うと手招きした。近づいて行くと松之助はシッと人差し指を口に添えた。そして草原に腰掛け小春にも座るよう促した。

周りは静まり小川のせせらぎと風の音が際立った。するといたるところから淡い小さな光が現れた。

ホタルだ!

何十いや何百のホタルが交互に輝き幻想的な世界を造り上げていた。

「キレイ!」

「なっ!東京の街のあかりより貴重なものやろ?」

小春は、頷いた。

「ねえ、明日も連れて来て!」

すると松之助は、小首を傾げて気まずそうに笑った。

「明日は、駄目や。でも多分会えるよ。きっと。」

小春は、何を言っているかわからなかった。