次に起きたときにも、まだ真っ暗だった。

今日は月も雲に覆われている。


そして気が付いたのは、体への違和感。

動かそうとしても、腕が固まって動きが取れない。


「…ん、…ん」って何度も言いながら、動かそうとしていると、
パチッと吊り下げられた豆電球が点いた。


「蓮くん…」


そこには、いつもとは違う表情の蓮くんが立っていた。


「ヒヨちゃんを、返したくない。
 僕のモノにしておきたいんだ。」

すごく切ない、蓮くんの表情。

「ごめんね。痛いよね。」

そう言って、私の頬を撫でる蓮くん。

私は、自分の腕が背中で縛られているのがわかった。


「ヒヨちゃんを、この部屋にずっと繋いでおきたい。
 ヒヨちゃんと離れるのが怖いんだ。」



涙を流す蓮くんを初めて見た。


まるで、大粒の宝石のような涙。



「私も、離れたくない。ずっと一緒にいたいよ。」