その夜 母親がお寿司を持って帰って来て
3人で食卓を囲んだ。
「ダーリンにも連絡したけど
ツアー中だから帰ってこれないって…
お正月にちょこっと顔 出しただけよね」
父親はミュージシャンで
本当に年 2~3回しか
家には帰らない人だった。
「そ~ゆ~母さんも 2ヶ月ぶりだろ
お互い様だろ!」
「あっ、そうそう…今日の打ち合わせで
また明日からパリに飛ばなきゃ行けなくなって…
チイちゃん、ごめんね…
渉と待ってて…」
「ハイ」
「はぁ?何だよ?ごめんねは俺だろ!っつか 仕事 日本で出来ないのかよ?
いきなり…二人って…学校とか どうするんだよ」
「それが無理なの…ちょっとトラブルがあって…
学校は手続きしてるから
荷物も明後日までには届くし…」
「身勝手だよ…連れて来るだけ連れて来て…」
「チイちゃんには説明してるから大丈夫よね?私の仕事 理解してくれてるよね?」
「美咲ちゃん、大丈夫ですから
仕事 頑張って来て下さい」
「ほら、チイちゃんの方がどれだけ
理解力あるか…」
昼間の千秋の姿を見たからか
俺は 当面 黙って様子みようと思った。