俺は何故か生意気な、ませた千秋が

初対面とは思えない不思議な気持ちになっていた。

一方 千秋も真剣に男性から怒られたのは初めてで

怒られた後の渉の眼差しが

何故かキュンと心打たれていた。

「渉、なんだかんだ言って 直ぐ仲良くしてるじゃない、チイちゃんの笑い声

下まで聞こえてたわよ」

「アイツ頭 おかしいんじゃない?

呼び捨てにしたり、オジサンとか…」

「別に呼び方なんて…とにかく

仲良くしてね…ちょっと 打ち合わせあるから

出かけてくるわ…

夜には戻るから」

(ったく…帰って来て早々…これだ…

いきなりアイツの子守りかよ…)

ずっとこの先一緒だと思うと
不安で仕方なかった。

(何か落ち着かないよな…

自分の家で なんで?俺が

落ち着かないんだ?)

部屋中をウロウロしていた。、

(あれから1時間 経ってるよな?

下りてこないな…もしかして

怒ったから?ちょっとキツく言い過ぎた?

まさか…?自殺とか…しないよな)

恐る恐る 静かに階段を上がり

千秋の部屋の前に立った。

耳を澄ませた。

いきなりドアが開いた。

「痛っ!」

「やだっ、覗き見?変態~っ」

「誰がガキを覗くかっ」

「ガキじゃなかったら覗く訳?やっぱ変態」

「あのな…心配して…って もういい!

痛っ…」

千秋はすかさず俺のオデコにツバを付けた。

「これで大丈夫!ママがよく転んでケガした時 こうしてくれたんだ」

突然の事に驚き言葉にならなかった。

「あっ、母さん 仕事の打ち合わせ行ったから…

その、あの…何か飲むか?」

千秋は頷き

二人でリビングへ向かった。