千秋の片付ける姿を見ながら

母親は静かに話し始めた。

「 チイちゃんのお母さん…1週間前

亡くなったの…

私とチイちゃんのお母さんは

幼なじみで…

ほら、アナタ覚えてない?

夏美 よく遊んでくれてたでしょ…」

(夏美?)

「覚えてないかぁ…アナタ小さかったもんね…

うぐっ…まさか夏美が…

死ぬなんて…」

突然 泣き出した母親に動揺した。

「泣くなよ…泣いたら あの子も…」

母親は何度も何度も涙を拭っていた。

「けど、なんで?美咲ちゃんとか呼ばせてる訳?オバサンだろっ?」

母親はコロッと表情を変えた。

「だって、美咲ちゃんの呼び方の方が

若々しいじゃない」

(なんだ?なんだ?泣いてたのに
その満面な笑みは?)

「で…いつまで?」

「いつまで?って何が?」

「だから…あの子 いつまで居る訳?」

「いつまでって…ずっとよ…

これからはアナタも妹と思って…」

「はぁ?無理だろっ?

いきなり妹?ムリ!ムリ!
だいたい、母さん ほとんど家に
居ないだろっ!」

母親の考えてる事に呆れていた。

母親はファッションデザイナーで

日本から海外まで幅広く活躍していた為

ほとんど家を空ける事が多かった。

「大丈夫、チイちゃん しっかりしてるし

夏美が女手一つで育ててきたから

家事とか私より上手かも…」

「そーゆー事じゃなくて、海外とか

行ってる時はどうするんだよ?」

「アナタが居るじゃない!

ダーリンも忙しいし…

でもアナタが居れば大丈夫

それに、もう何をどう言っても

チイちゃんは白石家の家族だから

夏美が死ぬ直前 約束したし…」

「俺だって仕事あるし。
それより あの子 いくつ?中学生?」

「11才 もうすぐ誕生日だから12才

小学6年生になったばかりよ」

「勘弁してくれよ~無茶だろっ」

「そーゆー事なので

ヨロシク~っ仲良くしてちょうだいね」

俺は頭を抱え込んでいた。