初めての夜更かしは田舎の祖父母の家でのことだった。

弟とこっそり家を抜け出してすぐ近くの丘の上から空を見上げる。

都会では見ることが叶わない星々を二人で飽くことなく見つめた。

懐かしい思い出。

今、私の隣には弟はいない。

星も見えない。

あの日と同じ場所。同じ時間。全く同じ空の筈なのに。

そこには一つの光もなかった。

「人間はね、死んでしまったら星になるのよ」

そんなことを言って笑っていた私は今、弟を探していた。

星になった弟を。

「ごめんなさい」

私のせいだった。

私がちゃんと待ち合わせに行かなかったから弟は死んだ。

光のない夜、私はひたすらに空を見上げ続けた。

雲が広がる夜の空は月の光もない。

ゆっくりと空が明るむのと同時に流れ星が落ちるのが見えた。

弟だと誰かに言ってほしかった。

ねえ、それは私の弟だったのかな?