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それから一週間はあっという間に過ぎてしまった。
クラスの皆も、王子の話を全然しなくなったし、私も隣の席の空席に慣れてきた頃。

彼は突然現れた。

─~♪、~♪

「…?」

今日もいつも通り、イヤホンを耳に押し当てて、私は音楽を聞きながら歩いていて。
周りの女の子達が妙にざわついていたのにさえ気付いて居なかった。

だから驚いたの。
いつも通りの空白の席に、
見知らぬ男子が座っていたから。

「…え、…?」

思わず、教室のドアの前で固まってしまう。‥誰?
それは見るからに知らない人で。

日本人離れしたような蜂蜜色の髪が、窓から差し込む光に反射してキラキラしている。
軽く机に頬杖を付いて、その人は本を読んでいて。
横顔だけで分かる。
あの人がとても綺麗な顔をしているって事は。

あれが噂の王子様だと、そう思った。

チラリと視線を泳がせれば、女子皆が彼に釘付けになっている。
そりゃそうだ。
だって私も見惚れてしまった。

藍ちゃんの言うとおり、確かに見てるだけで満足出来る。

「あ、…。」

我に返ってぶんぶんっ、と頭を振りながら意識を現実へと引き戻して、自分の席へとズンズン歩いた。
王子に見惚れてしまわないように、下を向きながら。