バンっ
鈍い音が部屋に響き渡った。
「社長さん。俺といねこの関係どうこうしないでくださいよ。」
「なっ!山崎くんっ!」
社長さんが戸の取っ手を握る数秒前に彼は、戸を開けた。
そして、私と社長を交互に睨んだ後
「全部聞こえてたんで。
俺がいねこを必要としてる?はっ?
別にどうとでもいいんですよ。」
「あなた!いねこさんに対してなんてこと!?」
彼の言葉に私の心はズタズタにやられていく一方で
何より私の心を彼は知ってしまった。
本当に好きなのはやっぱり私だけ。
彼は、きっと今、面倒くさい人って私のことを思っているに違いない。
「面倒くさい。ほら
いねこ行くよ。」
「ぇ?」
イラつきを顔にあらわにした彼が私の元に近づいてくる。
やだ。
怖い。
怖いよ...。
「やっ!」
彼が私の手を掴みかけた時、
体が敏感に動いて彼の手を払いのけた。
「.....何?不満?俺と一緒に行くのが?」
「ぁ......ちが」
「あーなるほどね。俺をからかってんの?俺のこと好きとか言っておいて何?」
「ち!ちがうの!」
龍斗くんの鋭い声に
怖くて涙が溢れでる。
本当はそんなこと言いたいんじゃないの。
「い、いけない。龍斗くんにはコレクションズにでてもらわないと、ダメです。」
払いのけた彼の手をぎゅっと握る。
「は?」
「お願い、龍斗くんをみたい。」
自分でも何言ってるのかわからない
理解できない。
震えてるし怯えてるし
彼の本意を知らない。
だけど、ファンとして、私は龍斗くんを見たい。