「それでなんだけど」



私に彼女はある提案を持ちかけた。



このままだと彼は、私を連れて旅行とやらを
社長に歯向かうための手段として実行するに違いない。



それを阻止するため、
社長さんが私に出した提案とは



彼の見習いマネージャー


として近くにいてはもらえないか?


というものだった。




「.....いやいや!!無理です無理です!」




そしてその後に出された彼女からの
龍斗くんが納得するであろう事に

私は猛反対をした。




「お願い!きっと、山崎くんはあなたを必要としているのよー!だから一緒に住んで!」





同じ家で彼と一緒に住む。





「そ、れは無理ですっ!現に今隣に住んでいるのでそんなに変わりないと思います!」




「そうじゃないの。四六時中隣にいてやって頂戴。」



かなり強引なその提案に私は
首を縦に降りたくはない。



一度、彼に一緒の部屋に住まわせろと脅されたこともあったけど、その時は

嫌いで嫌いで仕方なかった時だった。




だけど....



「ダメです。そうしたら私が......もちません。」





彼に利用されるためだけに
私は彼とお付き合いしているけど


本当は私は龍斗君が好き。





「...いねこさんは、山崎くんのこと好きなの?」




「はい。」



泣きそうになった。

芸能人を好きって恥ずかしすぎて...



「...いいじゃない?好きって簡単に消えないし、もうこの際付き合えばいいわよ!」



社長さんの言葉に私は小さく顔を下に向けた。



「ごめんなさい。実は....」


私は今まであったこと全てを社長に話した。

私は、きっと彼のお遊びにしか過ぎないけれど
付き合っていること。

彼の考えが全く読めなくなる時があること。

私は......本当に彼が好きなこと。





「...そう。」



一呼吸を置いて社長さんは席を立った。



「山崎君を許さないわ!」



「へ?」



何をするかと思えば
彼女は片手に握りこぶしをつくり、ゆっくり戸へとむかう。



「最初はあなたと山崎くんとの関係、絶対許さないと思っていたわ!ファンのことだってあるし!」


「....はぃ?」



「でもね!それより以前の問題だわ。彼はあなたを傷つけている!」