それで必死になって探したのか……

「先生から、貴方の事を聞き……
 そして、貴方を見つけることが出来ました。」

「……そっか」

「怒っていますよね?」

「怒っていないですよ」

 そう、別に俺は怒ってなどいるわけじゃない。
 悲しかっただけなんだ……
 そんな、回りくどいやり方をしなくても、俺は脊椎を提供したと思う。

「ごめんなさい」

「で、婚約破棄は取り消して貰えたんですか?」

 橘さんは、首を横に振った。

「もう、他の方と婚約していました。
 私、二股、かけられていた見たいです……」

 モテるヤツはずるい。
 一度に二人の人と付き合うことが出来る。
 そんなヤツがいるからモテナイヤツが出来てしまう。
 ってこれは、ひがみか……

「で、私捨てられちゃったみたいです。
 あはは……」

 橘さんは、そう言って、涙を流した。

 俺は、どうする事も出来なかった。
 こんな時、普通の男ならどうするのだろう……
 俺は、どうしてあげるのがよかったのだろう?