「どうした?大丈夫か?」

そう言って私の話を黙って聞いてくれる兄が私は大好きだった。様々な好奇の目に晒される中、兄だけは私を温かく包んでくれた。

優しくて、私にとっても自慢の兄だった。


そしてそれは突然だった。

吹奏楽部に入っていた私が部活で遅くなり突然の雨で慌てて家に駆け込むと、三人が固まってそこにいた。空気はとても重く、すぐにただ事ではないと悟った。