夜の屋上。

目の前の妖に向かって刀を振り下ろす。

妖は灰のようになって、夜の空気の中、
静かに消えていった。

コロン…と音をたてて落ちた石を残して。

「う〜ん。今日の妖石<ヨウセキ> はこれだけか」

そして、その冷たい石を拾いながら、
私は、呟いた。

腕時計を見ると、もう午前3時。

仕事には慣れてきたけど、寝る時間が少ないのはさすがに辛い。


「…帰らなきゃ」

私は妖石をポケットにしまい、
ふっ、と屋上の柵から飛び降りて、
夜の闇に消えるのだった。