「……さてと。あんた達は今からボイストレーニング!強敵と戦うんだから、気合い入れて行くのよ!!」



 気持ちを切り替えさせるために叫んだ硝子に、五人は揃って元気よく「じゃあ、行ってきます!」と返事をした。



「行ってらっしゃい!怪我には十分気を付けて、思いっきり頑張りなさいね!!」



 硝子も笑顔で手を振る。走り出す五人を見て、硝子はハッとした顔になり、突然雪那を呼び止めた。



「雪那、ちょっと!」

「……はい?」

「あんたも14年生きてて分かってると思うけど、女の嫉妬は怖いから気を付けるのよ!」

「あぁ、その織春って子ですか?平気ですよ!」



 雪那は大して気にしていないのか、ニコニコ笑っている。この落ち着きようは親譲りなのか、それとも彼独特のものなのだろうか。



「あら……余裕ね。まぁ、どうせなら惚れさせる覚悟でいきなさいね!」



 硝子は笑いながら、雪那の背中をドンッと叩く。乱暴だが、愛情は込もっている筈だ。



「いたっ!はいはい……じゃ、行ってきま~す!」

「行ってらっしゃい!!」



 小走りで四人を追いかける雪那を、硝子は笑顔で見送った。