「とりあえずさ、演奏ミスらないように頑張ろうよ!ね?」

「……だな。雪那と風巳、音外すなよ!」



 紘の明るい言葉に続き、頼星がニヤリと笑って言う。



「何だそれ!俺らはミスんないよ。な、雪那?」

「まぁね。あれだけ練習したし、大丈夫でしょ!」



 雪那が風巳に微笑んだ、その時。コンコンというノック音がして、光夜が「どうぞ」と答えた。ドアが開き、「あんた達、出番よ!」という元気な声が響く。硝子が五人を呼びに来たのである。その声に、全員が立ち上がった。



「いよいよだな……」



 光夜が呟くように言うと、誰かがゴクリと息を呑んだ。そして、硝子の声が五人の背中を押すように響く。



「……さぁ、早く行きましょう。お客さん達が待ってるわ!」



 ──スタンバイ中のステージ袖で、五人は円陣を組んだ。互いの顔を見回す。緊張と嬉しさが混じり、みんなが良い表情をしている。



「……最高のスタート切ろう!」



 光夜の言葉に四人が頷く。光夜は息を吸い、大きく叫んだ。



「……行くぞーっ!!」

「おーっ!!」



 五人は、眩(まばゆ)いステージへと飛び出していった。