都香の言葉で、耀人・叶・侑の瞳に新たな意志が宿る。頼星の目にも、輝きが戻ってきたように見えた。そんな彼に向かって、都香は語る。



「……間違いじゃなかったら、雪那も頼星のことが好きだったんじゃないかな。頼星には一度も言わなかったかもしれないけど、私達には分かるんだよ?頼星と一緒に居る時の雪那、凄く生き生きしてたから。」



 視界が霞みそうになり、頼星はグッと堪える。そんな彼を温かく包み込むように、四人は笑顔を向けた。少し離れた場所に居た光夜達も、彼の元へやってくる。

 一片(ひとひら)の桜の花びらが、ふわり、頼星の黒髪へ落ちる。その薄紅色を払ってやりながら、都香はニコリと笑って言った。



「……頼星にいっぱい思われて、雪那はきっと幸せだよ。」



 ──見上げた空は、憎たらしいくらいに青く澄んでいる。いっそ、土砂降りの雨なら良かったのに。そう思わずにはいられなかった。



「きっと、雪那が晴れにしたんだろうな……」



 頼星は呟いて、空を見上げる。空色が好きな雪那が、“泣かないで”と言ってくれているのだろうか。

 ──目を閉じれば、彼女の笑顔が浮かんでくるようだった。