翌日──卒業式には、雪那の写真を抱えた頼星の姿があった。報道陣が集まることはなかったが、雪那の名前が呼ばれると、やはり式場が少しざわついた。保護者席で見守っていた光夜達や硝子、高藤は、眉間に悲しみの皺を寄せる。雪那の両親や頼星の兄も同様だった。

 式の後、頼星の周りにdiceのメンバー達が集まってきた。四人共、朝から彼を気遣う素振りばかり見せている。頼星は少しだけ、申し訳ない気持ちになった。



「頼星、大丈夫か?お前、雪那のこと……」

「……好きだよ、今でも。信じたくねぇなぁ……もう会えないなんて。」



 叶の言葉に力なく笑う頼星。四人は不安そうに顔を見合わせる。



「俺、雪那のお父さんとお母さんよりもお前が心配かも……」

「こら、耀人!暗くなるようなこと言わないの!!
頼星……ウチらも信じたくないけど、受け入れなきゃ。雪那だって、お姉さんの時にそうした筈だよ?」



 耀人と侑の言葉にも、頼星は叶の時と同じ反応を見せる。そんな時、ずっと黙っていた都香が口を開いた。



「ねぇ……私達、いつも雪那に支えられてばっかりだったよね?今度はきっと、私達の番だよ。私達が、頼星を支えなきゃ!」