少ししてから、紘が「ところで、雪那と頼星は?」と尋ねる。頼星は雪那をチラリと見て、先に自分の境遇を話し始めた。



「俺は兄貴と二人暮らし。親が離婚してるから。」

「ご、ごめん……嫌なこと聞いちゃったね……」

「いや……良いよ。紘だって辛いのに話してくれたじゃん?」



 頼星は、気にするなという風に微笑する。そして、続きを語り始めた。



「親父が酒飲みでどうしようもない奴だから、お袋も堪忍袋の緒が切れたみたいで……離婚届置いて出てったらしい。俺も兄貴も親父と暮らすのだけは嫌だったから、二人だけで暮らしてるってわけ。」

「そうだったんだ……」



 みんなが思わず暗い顔になる。紘はとりわけ悲しそうな顔をしていた。



「……何だよ。紘がそんな顔すんなよな。紘はQuintetのムードメーカーなんだからな?」



 頼星が紘の肩をポンと叩く。紘は「……うん。俺、明るいのだけが取り柄だもんね!ごめん!!」と言って笑顔を見せた。

 これまで四人の境遇が話されてきた。雪那は黙って聞いていたが、やがて決意の拳をギュッと握る。



「……みんなが話してくれたから、俺も話すよ。」