「へぇー……雪那、俺らもそろそろ上京しなきゃならない時かもな。」

「出来れば地元から離れたくないけど、仕方ないね。転校するとなると、中3になった時がベストかな……」



 雪那は少し寂しそうだ。それだけ今の生活が気に入っているのだろう。



「あぁ、そっか。途中で転校しなきゃなんないな。俺も寂しくなってきたかも……」



 風巳も雪那の寂さが伝染したのか、そう言った。二人の会話を聞いた頼星も思わず俯く。どんよりとしてきた雰囲気に気が付き、光夜がそっと口を開いた。



「……上京してからも連絡は取り合えるよ。こっちでも頑張れば、友達も応援してくれるだろ!」

「そうそう!俺の友達もみんな応援してくれたよ!!俺らが活躍すれば、元気にしてるって分かってもらえるしね!!」



 光夜と紘が順に言う。三人はその言葉に深く頷いた。少なからず、励まされたのだ。

 慣れない暮らしは、とても不安で寂しいもの。だが、それを乗り越えていくことが自立に繋がり、今まで見えなかったものも見えてくるのだ。光夜と紘は、そのことに気付いて欲しかったのだろう。三人を見つめる目が、とても優しかった。