ただ、自分のしたいことだけをすれば良いと思っていた。だが、何処かの“団体”に所属すればそういう訳にはいかない。

 時には辛くて嫌な仕事もこなさなければならず、何日も不眠不休の状態が続くこともある。しかし、例えば会社員なら、与えられた仕事を期日までにやりきることが求められる。“責任”というものが同時に生まれるのだ。



「実は、硝子さんに一度相談したんだ。“自分がやっていけるかどうか不安だ”って。そしたらこう言われたよ。
『あんたが理想としてたものとは確かに違うかもしれないわね。グループ組むこともオーディション後に決まったんだし。
でもね、あんた達はS.S.Gっていう会社で売られている商品なの。例えも言い方も悪いかもしれないけど、商品が売れなければ会社は成り立たないのよ』って。」



 硝子の例えはとても分かりやすい。一度“不良品”だと見なされれば人気は一気に下降し、遂には忘れ去られる。そんな商品が増えれば、会社は倒産への道のりを辿らざるを得なくなってしまう。だから商品は、いつも人々を惹き付けていなければならないのだ。そのために、会社も様々な戦略を立てて消費者にアプローチするのである。