間奏で息の合ったダンスを披露する五人。ステップや手の振りが揃う度に嬉しそうに目を見交わす彼らを、何人もの女の子が食い入るように見つめている。

 最後の大サビ部分が近付き、ボーカル二人のダンスが止まる。彼らの後ろでは他三人が華麗な舞いを変わらず見せつけている。SetsunaとKazamiが大きく息を吸った。ソプラノに限りなく近いアルトとテノールが重なる。その二つがマイクを突き抜けて、会場の空気を支配した。





涙は溢れはしないけど
心が空(から)になっていく
叶わぬ願い 行方なき涙
I can't get you
how dearly I think of…





 想像してみて欲しい。“どんなに深く思っても手に入らない”という、切なさと悲しさを。ラストの英語詞は、若きボーカリスト達が心からそう訴えているかのようだった。

 一曲目が終わり、何故かSetsunaだけが舞台袖に引っ込む。唖然とする観客をよそに、残り四人はステージ中央を空けた形でスタンバイしている。やがて何処からかギターの音が聞こえ始め、大切な相棒をその指先で操りながら現れたSetsunaが、四人の真ん中で立ち止まった。