観客が成程といったように「へぇー……」と声を洩らす。CMで何となく曲を聞いたことがある人達は、うんうんと頷いていた。司会者がすかさず「Setsunaさんは、今回の曲についてはいかがですか?」と尋ねる。Setsunaは穏やかに一笑して答えた。



「そうですね……女目線の曲なので、声を高めに意識しました。あとは踊りながら歌うのが難しかったです。俺、筋力がなくて声がブレるんですよ。だから現在進行形で筋トレ頑張ってます!」

「えっ、今回はダンスがあるんですか!?」



 司会者が驚くと同時に、会場からの歓声が響いた。ファンが彼らのダンスを心待ちにしていたということがよく分かる。Kazamiが「そうですよー!みんなしっかり見てね!!」と言えば、彼女らは嬉しそうな笑みを見せ、サイダーの泡が弾け飛ぶように手を叩いた。するとRaiseiが、あぁ、と呟く。彼は何かを思いついたように、ニヤリと笑った。



「そういえば、『ダンスも売りの一つなのに、いつまで待たせるんだ!』って声があったらしいですよ。だからプロデューサーさん達が慌てて計画したみたいですね。」



 彼のその言葉で、観客は爆笑を余儀なくされた。