「……待った。もしかしてプランスのこと知らない?」
流宇が再び怪訝そうな顔と共に言葉を紡ぐ。先程よりも呆れた声色だった。
うん、まずそこじゃない。
まぁ実際そっちも分からないんだけどね?
プライドに任せて、気になる事を無下にできる性格じゃないから、この際流してやる。
「何の話?」
呆れられてしまっても、とぼけてる訳じゃないんだから聞いてみる。
今日から通う学園はフランス語が授業に採り入れられている。ある程度の勉強をしてきたから、流宇の放った単語の意味が“王子”だと理解することが出来たくらいだ。だけど“王子やるんだから”の言葉の意味は未だに分からずにいる。
「侑貴ってさ、意外と不真面目なんだね…」
流宇はそう言うと、クスッと可愛らしく笑い歩き始めた。