「分かりました。…でも、諦めません。いつか、振り向かせてみせますわっ!」
 
 
 
…事実を知ったら、君が振り向かないと思うよ。
なんて、心の中で言ってみる。
 
彼女は取り巻きを従えて、颯爽と立ち去った。美しい後ろ姿、キレイだと思った。
 
 
 
「…まぁったく、来ないと思って来てみたら……。案の定告白?逆にどーしよかと思ったっ。」


「助かったよ、ありがとう」


自分より背の小さい流宇の頭を優しく撫でると、


「頭撫でたって、貸しは貸しだからねっ」

 
顔を赤く染めながらも、憎まれ口を叩く。
流宇は頭を撫でられると即座に機嫌が直る、という分かりやすい身体をしている。
流宇自身もそれを自覚しているから、こんな風に先回りして制御する。
ちなみに、流宇のフルネームは西園寺 流宇。西園寺財閥の令嬢。
 
 
「ははっ…、分かってるよ」