まるで助け船。
背後から聞こえてきた、聞き慣れた声に自分でも驚くくらい安堵していた。
 
 
「あれ、お取り込み中?」
 
そう言ってちょこんと隣に来た小柄な人は柔らかく微笑んで、俺と対峙している彼女を見た。
 
 
「…諦めたほーが良いよ?こいつ、大切な女の子いるし。」

「流宇っ…!」


驚いた。まさかコイツの口から、そんな言葉が出てくるなんて。
紛らわしいじゃないか、そんな台詞…。


 
「事実でしょ?」


そうだ、間違ってはいない。
大切な女の子がいる。
そう、“女の子”が、だ。
流宇にそう言われて、つい頷いた。
単純すぎたかもしれないが。

 
「って事だから、諦めてあげて?」
 
 
流宇はここぞとばかりにニッコリ笑って、告白してきた彼女に言い放った。