リカはすごく周りに気を使う子なんだと思う。
自分の彼女である事が、不思議で仕方ない。
リカなら、俺なんかじゃなくて、きっともっと相応しい男がいるはずなのに。
「歩太、ごめんね。もっとゆっくり教えてあげられるといいんだけどね。」
そう言って、忙しい合間にも俺の存在を気にしてくれる。
「ねぇ、ちょっとバックルーム行って雅美ちゃんの様子見てきてくれる?戻りにくいのかもしれない。」
新人の雅美ちゃんが、バックルームに行ってから15分位経っていた。
店内は相変わらずバタバタしている。
俺には一番相応しくないであろう事を、リカは俺に頼んできた。
まぁ確かに、俺以外は、忙しそうだ。
今までなら、断るか無視するかのどっちかだ。
でも、俺はリカの優しさを無駄にしたくないと思ったんだ。
きっと俺が行かないと、リカは自分で雅美ちゃんを迎えにいくだろう。
「分かった。」
俺が答えると、リカは少し驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔で
「お願いねっ!」
そう言った。
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