7月最後の週の水曜日。
俺の仕事が休みのこの日、
俺は、14年振りに父親に会いに行く。
沢村に貰ったチェックのワンピースを着て、店長に貰ったうさぎのポシェットを肩にかけた光は、“お出かけ”が嬉しいのか、はしゃいでいた。
リカはこの日の為に、いろいろ調べて、父親が暮らす街にある、全個室の日本料理の店を予約してくれた。
少し緊張する俺とリカをよそに、光はチャイルドシートに座って、
ステレオから流れる、アニメソングをご機嫌に歌っている。
約2時間のドライブで着いた店。
入り口まで続く石畳。
高級感が漂う店構えに、光も緊張したのか、俺に手を伸ばして、抱っこをせがむ。
光を抱いて、店に足を踏み入れると、着物姿の綺麗な女将さんが俺達を迎えてくれた。
「予約していた宝来です。」
「お待ちしておりました。お連れ様は、もうお見えですよ。」
父親は、もう来ている。
緊張が、一気にピークを迎える。
リカは、そんな俺の背中をポンと叩いて、ニッコリ笑った。
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