電車を降りて、タクシーでリカのいる病院に向かった。



俺と沢村は、一言も言葉を交わす事はなかった。





病院に入り、受付でリカの名前を言った時、後ろから声が聞こえた。




「美月さんですか?」




その声に、俺と沢村が振り返る。



立っていたのは高校生くらいの女の子。

俺と沢村の顔を交互に見る。




「竹下郁美さん?」


沢村がゆっくりとその子に近づいた。


軽く頷いたその子は、俺の事を驚いた様に見ていた。



「連絡くれてありがとう。リカは?リカ、どこにいるの?」


「どうしてですか?歩太さんですよね?どうして、歩太さんがいるんですか?知らせないで下さいってお願いしたのに!」




沢村の言葉に、彼女は睨む様に俺を見てそう言った。



「分かってる。リカが会わないって言ったら、彼はこのまま帰るから。
でもね、リカが今、1番会いたいのは、彼だから・・・。」



下を向いて、しばらく考える様に黙り込だ後、


「分かりました。こっちです。」


リカの病室まで、俺達を案内してくれた。




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