営業時間を終えて、みんなが閉店作業に取り掛かった頃、店内に沢村の声が響いた。



「宝来くんっ!!」


前半で上がったはずの沢村が、慌てた様子で、俺の所に駆け寄ってきた。




「宝来くんっ!リカが・・・リカが見つかった・・・」




その言葉を聞いて、俺の手からグラスが滑り落ちた。



ガシャンと響いた音にハッと我に返る。


「・・・どこ?リカはどこにいるの・・・?」


「とりあえず私、今からリカの所に行ってくるから・・・」


「待てよっ!俺も行くっ!」


「・・・私が行くから・・・」


「頼むから・・・俺も行かせて・・・」



沢村の腕を掴んで、必死に頼み込んだ。


リカが見つかったって聞いて、じっと待つなんて、出来るわけがない。




「分かった。一緒に行こう。」



一部始終を見ていた店長が、閉店作業はいいからと、すぐに俺を上がらせてくれた。





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